目には見えないものを見る

「じゃあ秘密を教えるよ。 とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。」と、キツネは言った。「いちばんたいせつなことは、目に見えない。」星の王子さまは、忘れないために繰り返した。
(あなたはウワバミの中に何が入っているのか想像したことがあるだろうか。本当にそれは象だろうか。愛とか勇気とかじゃなくて?たいせつなことは、目に見えない。)

優しさを持ちうる理由というものがひとにはある気がしている。それはきっと目に見えない理由による。一番悲しんだひとほど一番優しい。優しい理由は自身が持ちうる傷の数、および傷を想像しうるこころだ。きっとそういう目に見えないもので世界はいつも救われている。逆に言えば、目に見える理由で救われることはないのだろう。物質それ自体が絶望を葛藤を孤独を傲慢を救ってくれることはない。

豊かさ、それも内面の豊かさは目に見えないものを見る努力によって培われ、その一歩目は信じることからはじまる。信じることは愛を生む、だから救われる。自身の愛によって自身が救われる。その愛は自分に向かわなくても他者とのつながりを経てめぐって自分に帰ってくる。なぜなら他者との間でしか自己認識ができないから。この自己認識の仕方は本当によく出来ていて、今のところ自分のなかで曖昧に理解している因果応報はだいたいこれで説明がつく。でも意識していくのは難しい。外部からでないとその全貌は理解し得ないから。けれど、一部を見てその全貌を想像することはできる。「この世界の愛はめぐっていて、それは目には見えない」そんな世界で生きている。

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