「粗食のすすめ」新版「本物の健康」をつくる「正しい食事」を読んでみた

いよいよ紹介せねばならない。この本を。

粗食のすすめ 新版 「本物の健康」をつくる「正しい食事」
著者:幕内秀夫

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以前紹介させていただいた「粗食のすすめ」に毛が生えた感じかな~と思って読みすすめると、「えっなにさらっと書いてた文にそんな根拠があったの?ていうかこんなこと前の本には全然書いてなくなかった??めちゃめちゃ詳しくない???大丈夫????」となります。レシピ本は主婦の友発行だったこともあり、たいへん一般向けな内容だったんだ…!とびっくり。そんな本がこちら、「粗食のすすめ新版」です。

初っ端から「食生活の五十五年体制、崩壊へ」という見出し。いやいやまずね、漢字が多い。しかも五十五年体制ってあなた…歴史の授業でしか聞いたことないよ…と思いきやそう、歴史の話から入ります。なかなか教科書チックな感じで嫌いではない。

日本人の食生活が急速に欧米化したのは、昭和30年以降。「栄養改善普及運動」が始まり、「食生活近代化論」が流行したそうです。何を改善し、何を近代化しようとしたかと言うと、「アメリカや欧米諸国と食べるものを比べ、動物性たんぱく質は五分の一、しかもほぼ魚に頼っている」ことが問題視され、穀物やイモ類などデンプンばかりに食べている国は貧しい。先進国のように肉や牛乳などの動物性たんぱく質をたくさん食べて早く欧米に追い付こうとしたそうです。

この名残が「ご飯を残していいからおかずをたくさん食べなさい」や、今はもう撤廃された「30品目のおかず推奨」になるそうで、まず幕内先生はこの運動に異議を唱えます。

主食の違いは風土の違いであり、欧米諸国ではパンをそもそもの主食にしていない。なぜなら降雨量が少なく、パンを主食にするだけの小麦が取れなかったからだ。そのため動物性たんぱく質でカロリーを摂取してきたという、風土の違いからくる歴史を無視している。

栄養バランスとは、風土に合った伝統的な食事で初めて成り立つ。例えば北極圏のイヌイットは野菜はほとんど口にせず、アザラシや白熊の肉を主食にしてきたし、パプアニューギニアの高地で暮らす人々は一日一キロ以上のサツマイモを食べ、それ以外を食べることは極めて少ない。しかし、イヌイットもパプアニューギニアの人々も病弱ではない。なぜなら自分の生まれ育った土地のものを食べているからだ。

風土がはぐくみ、先人たちが作り上げた食習慣を守ることこそが「バランスのいい食事」であって、決して「米が育たない土地で麦を食べるようになった国の食生活」を真似することがバランスのいい食事ではない。


しかも、昭和33年には「頭脳」という雑誌が発行され、ここには「米を食べるとバカになる」と書かれており、「米食低能論」が大流行。ちなみに内容は実にデタラメ。この本は発売後3年で50万部を売り上げるベストセラーになり、戦後ようやく立ち直ったばかりの米農家に大打撃を与えたと書かれています。キッチンカーで小麦を使った料理講習会を開いたり、学校給食の拡大、パン産業の育成などにより、パン食が日本人の食生活に深く根付いていくこととなりました。平たく言えば、食の植民地化ですね。わたしは経験していないからこういう風に書けるのですが、戦争ってそういうものみたいです。

そんな歴史があった上で、今現在の日本では「食源病」が大流行しております。
幕内先生は、これを防ぐ10箇条を述べておられます。

①一日に二回はご飯を食べる
②飲み物でカロリーを摂らない
③夕食は8時までに食べる
④外食は上手に選ぶ
⑤間食は食事に影響しない程度に
⑥副食は季節の野菜、豆類、海藻を中心に
⑦動物性食品は魚介類を中心に

⑧できれば未精製のご飯を食べる
⑨食品の安全性にも配慮したい
⑩食事はゆっくりよく噛んで

⑦と⑧の間でいったん区切りをいれたのは、⑧⑨⑩は⑦までの項目ができて初めて到達できる「次の一歩」だからです。①~⑦まではレシピ本にも書いてあった通り、食事の提案は和食回帰になります。

特に子供と女性の食生活は極めて危険で、なぜなら男性はどんぶり飯を食べるけれど、女性はダイエットに気を使いお米を食べない。代わりにパンやパスタ、お菓子、果物などの脂質糖質の多い食事をしている。しかもヘルシーだと信じて。そんな女性が母になります。言わずもがな子供の食事は…?というわけです。

女性の現代型栄養失調の5項目
①便秘
②冷え性
③貧血
④生理不順
⑤肌荒れ
だそうです。食を見直す機会があればいいですが、若いので問題視せずそのまま時が過ぎると、ある年齢を超えたときに大きな病気にかかりやすくなるそうです。これは乳がん、子宮がん、卵巣がんが増えているという客観的な数値にもあらわれています。

また、ひとつの栄養素で食物をとらえることは無意味で、例えばお茶ならばビタミンCやカテキンでがん予防になるといった反面、タンニンが鉄分とくっつくので貧血のもととなるし、ほうれん草なら鉄分が豊富で貧血に効果的かと思いきや、シュウ酸がカルシウムと結合して尿路結石の原因となる。ひとつの食物の中に様々な栄養素が含まれており、それらはすべて発見されているわけでもなく、すべての機序がわかっているわけではないので、栄養素を考えることを無意味とは言わないがそれのみをもって食生活を考えていくことには限界があると述べているんですね。これと同じくカロリーも気にしても無駄と書いてあり、この辺は以前紹介させていただいたレシピ本と同じ内容(を掘り下げたもの)になっています。


表紙には「本物の健康をつくる正しい食事のための入門書」と言う感じの文句が書かれていますが、入門書にしては結構マニアックな内容が多いです。入門はレシピ集のほうで良いと思いますので、ぜひ余裕がある方はこちらのプラスα本も読まれてみてください。
米食がどのような形で否定され、その影響がどのように広がっているのか、それを防ぐ方法は何かということが体系立って学べます。理論は良いから実践編を教えてほしいという方はレシピ集までで大丈夫です。レシピ集まででも実践していただければ十分効果がありますので安心してください。こちらは理論派のあなたにオススメの一冊です。


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